1週間前の準備から当日のカウントと照合、終わったあとの振り返りまでを、時間の順に並べました。見出しの順に日付と担当を書き込めば、今回の棚卸しの計画表になります。
今週末、閉店後に棚卸し。そう決めたものの、当日いきなり数えはじめると、たいてい途中で手が止まります。
「1ケースは1と数える? 24と数える?」「数えている横で出荷していいの?」
棚卸しがスムーズに終わるかどうかは、当日より、1週間前からの準備でほぼ決まります。
棚卸しの定義や種類、時期といった全体像は、「棚卸しとは?完全ガイド」にまとめています。
最初に決めることは2つです。進め方(一度に数えるか、少しずつ数えるか)と、記録の道具(数えた数を何に書くか)です。
| 決めること | 選択肢 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| ① 進め方 | 一斉棚卸し | アイテムが数百点まで・拠点が1か所。休業日や閉店後にまとめて数える |
| 循環棚卸し | アイテムが数百〜数千点・営業を止めたくない。エリアごとに少しずつ数える | |
| ② 記録の道具 | 紙・Excel | アイテムが少なく、まず手軽に始めたい |
| 在庫管理アプリ(スマホでスキャン) | バーコードが付いている、または貼れる。転記の手間をなくしたい |
実地棚卸しと帳簿棚卸しの違いなど、棚卸しの種類は「棚卸しとは?完全ガイド」の種類の章で説明しています。この記事では、当日までの手順に絞ります。
棚卸しの計画は、1週間前までに日時・数える範囲・担当者の3つを決めることです。
人数は、2人1組×エリアの数が目安です。ひとりが数え、ひとりが記録する前提で組みます。あわせて棚卸表を用意します。アイテムの一覧に、帳簿上の在庫数と、数えた数を書き込む欄を付けたものです。
このタイミングで、数え方のルールも文字にしておきます。とくに単位です。「1ケース=24本入り」を1と数える人と24と数える人が混ざると、それだけで大きな差異が生まれます。
前日の準備は、掃除ではなく「数えやすくする」ための整理です。
同じアイテムがあちこちに散らばっていたら、1か所に寄せます。空き箱は片付けます。返品待ちや修理中など「今回数えないもの」には目印を付けておきます。
そのうえで、当日のエリア分担と数え方のルールを、関わる全員に共有します。当日の朝に初めて聞かされると、質問と中断でカウントが進みません。
当日の朝に最初にやるのは、数えることではなく、その時点の記録を締めることです。
帳簿上の在庫数を確定させて、棚卸表に落とします。ここが「どの瞬間の在庫と突き合わせるか」の基準点になります。
あわせて、カウント中に発生する入出庫の扱いを確認します。基本は、いったん止めることです。どうしても止められない出荷などは別にメモしておき、棚卸しの確定後に反映します。この線引きが曖昧だと、数えている横で在庫が動いて、あとの照合が合わなくなります。
カウントは、2人1組で数える人と記録する人に分かれ、数え終えた棚に「済み」の目印を付けながら進めるのが基本形です。
エリアごとに担当を割り、自分の範囲だけに集中します。済みマークは、数え漏れと二重カウントの両方を防いでくれます。
もうひとつ意識したいのが時間です。数え間違いは、疲れてくる後半に増えます。製造業の現場では3〜4人がかりで半日から1日かかる例もあり、集中力が持つ長さで終わる計画にしておくことが、いちばんの精度対策になります。
数え方に迷ったものは、その場の立ち話で決めず、メモを付けて飛ばします。あとで責任者がまとめて判断すれば、ルールがぶれず、カウントの手も止まりません。
数え終えたら、棚卸表と帳簿を突き合わせ、差のあるものを差の大きい順に調べます。
原因の定番は、入力漏れ、破損や廃棄の記録忘れ、置き場所の違い、数え間違いです。小売の現場なら、試食やサンプルといったレジを通らない出庫も加わります。
数字だけ帳簿に合わせて終わりにすると、ズレを生んだ仕組みが残ります。翌月、また同じ差が出ます。全部でなくてよいので、差異の大きい上位だけは原因まで追ってください。差異が生まれる原因のパターンと直し方は、棚卸しで差異が出る原因の記事で詳しく扱っています。
照合と原因調査が済んだら、帳簿を実際の数に直し、止めていた入出庫を反映してから業務を再開します。
朝の時点で別にメモしておいた出荷分の反映を忘れると、直したばかりの帳簿がその日のうちにまたズレます。棚卸表は保存します。期末の棚卸しなら、決算の根拠資料にもなります。
片付けが終わったら、30分だけ振り返りの時間をとります。記憶が新しいうちに書き残しておくと、次回の計画が立てやすくなります。
時間がかかった棚、迷った数え方、差異の多かった場所。棚卸表にひとこと添えておきます。「またズレた」で終わらせず、「次はここを直す」まで書き残す。ここまでが棚卸しのひとまわりです。
在庫管理アプリを使うと、ここまでの手順のうち「書く・打ち込む・見比べる」を、スマホでの入力と、その場での差の表示に置き換えられます。
紙の棚卸表で数えると、「数える→書く→Excelに打ち込む→帳簿と見比べる→直す」という流れになります。この流れでは、数える時間より、そのあとの転記と突き合わせのほうが長くかかりがちです。
ここでは、私たちが開発しているクラウド在庫管理アプリ「nanco」の棚卸し機能で、この手順がどう変わるかを紹介します。
ハンディターミナルのような専用機器は要りません。くわしくは棚卸し機能の紹介ページにまとめています。
棚卸しの定義や種類、時期と頻度、税務との関係は、「棚卸しとは?完全ガイド」にまとめています。今回の手順とあわせて読むと、全体像がつながります。