棚卸しのやり方|1週間前から当日までの手順を時間軸で解説

コラム 公開日: 2026-07-17 / 更新日: 2026-10-01 執筆・編集: nanco 編集部
並んだコンテナが一列になって、順番に出口へ運ばれていくイラスト

1週間前の準備から当日のカウントと照合、終わったあとの振り返りまでを、時間の順に並べました。見出しの順に日付と担当を書き込めば、今回の棚卸しの計画表になります。

今週末、閉店後に棚卸し。そう決めたものの、当日いきなり数えはじめると、たいてい途中で手が止まります。

「1ケースは1と数える? 24と数える?」「数えている横で出荷していいの?」

棚卸しがスムーズに終わるかどうかは、当日より、1週間前からの準備でほぼ決まります。

棚卸しの定義や種類、時期といった全体像は、「棚卸しとは?完全ガイド」にまとめています。

1. 最初に決める — 進め方と記録の道具

最初に決めることは2つです。進め方(一度に数えるか、少しずつ数えるか)と、記録の道具(数えた数を何に書くか)です。

決めること選択肢向いている現場
① 進め方一斉棚卸しアイテムが数百点まで・拠点が1か所。休業日や閉店後にまとめて数える
循環棚卸しアイテムが数百〜数千点・営業を止めたくない。エリアごとに少しずつ数える
② 記録の道具紙・Excelアイテムが少なく、まず手軽に始めたい
在庫管理アプリ(スマホでスキャン)バーコードが付いている、または貼れる。転記の手間をなくしたい

実地棚卸しと帳簿棚卸しの違いなど、棚卸しの種類は「棚卸しとは?完全ガイド」の種類の章で説明しています。この記事では、当日までの手順に絞ります。

2. 1週間前 — 日時・範囲・担当を決める

棚卸しの計画は、1週間前までに日時・数える範囲・担当者の3つを決めることです。

人数は、2人1組×エリアの数が目安です。ひとりが数え、ひとりが記録する前提で組みます。あわせて棚卸表を用意します。アイテムの一覧に、帳簿上の在庫数と、数えた数を書き込む欄を付けたものです。

このタイミングで、数え方のルールも文字にしておきます。とくに単位です。「1ケース=24本入り」を1と数える人と24と数える人が混ざると、それだけで大きな差異が生まれます。

3. 前日 — 数えやすい売り場と倉庫にする

前日の準備は、掃除ではなく「数えやすくする」ための整理です。

同じアイテムがあちこちに散らばっていたら、1か所に寄せます。空き箱は片付けます。返品待ちや修理中など「今回数えないもの」には目印を付けておきます。

そのうえで、当日のエリア分担と数え方のルールを、関わる全員に共有します。当日の朝に初めて聞かされると、質問と中断でカウントが進みません。

4. 当日朝 — 記録を締める

当日の朝に最初にやるのは、数えることではなく、その時点の記録を締めることです。

帳簿上の在庫数を確定させて、棚卸表に落とします。ここが「どの瞬間の在庫と突き合わせるか」の基準点になります。

あわせて、カウント中に発生する入出庫の扱いを確認します。基本は、いったん止めることです。どうしても止められない出荷などは別にメモしておき、棚卸しの確定後に反映します。この線引きが曖昧だと、数えている横で在庫が動いて、あとの照合が合わなくなります。

5. カウント — 2人1組で、済みマークを付けながら

カウントは、2人1組で数える人と記録する人に分かれ、数え終えた棚に「済み」の目印を付けながら進めるのが基本形です。

エリアごとに担当を割り、自分の範囲だけに集中します。済みマークは、数え漏れと二重カウントの両方を防いでくれます。

もうひとつ意識したいのが時間です。数え間違いは、疲れてくる後半に増えます。製造業の現場では3〜4人がかりで半日から1日かかる例もあり、集中力が持つ長さで終わる計画にしておくことが、いちばんの精度対策になります。

数え方に迷ったものは、その場の立ち話で決めず、メモを付けて飛ばします。あとで責任者がまとめて判断すれば、ルールがぶれず、カウントの手も止まりません。

6. 照合 — 差異を見つけて、原因を調べる

数え終えたら、棚卸表と帳簿を突き合わせ、差のあるものを差の大きい順に調べます。

原因の定番は、入力漏れ、破損や廃棄の記録忘れ、置き場所の違い、数え間違いです。小売の現場なら、試食やサンプルといったレジを通らない出庫も加わります。

数字だけ帳簿に合わせて終わりにすると、ズレを生んだ仕組みが残ります。翌月、また同じ差が出ます。全部でなくてよいので、差異の大きい上位だけは原因まで追ってください。差異が生まれる原因のパターンと直し方は、棚卸しで差異が出る原因の記事で詳しく扱っています。

7. 再開 — 帳簿を直して、ふだんの業務に戻る

照合と原因調査が済んだら、帳簿を実際の数に直し、止めていた入出庫を反映してから業務を再開します。

朝の時点で別にメモしておいた出荷分の反映を忘れると、直したばかりの帳簿がその日のうちにまたズレます。棚卸表は保存します。期末の棚卸しなら、決算の根拠資料にもなります。

8. 終了後30分 — 次回のための振り返り

片付けが終わったら、30分だけ振り返りの時間をとります。記憶が新しいうちに書き残しておくと、次回の計画が立てやすくなります。

時間がかかった棚、迷った数え方、差異の多かった場所。棚卸表にひとこと添えておきます。「またズレた」で終わらせず、「次はここを直す」まで書き残す。ここまでが棚卸しのひとまわりです。

9. アプリを使うと、この手順はどう変わるか

在庫管理アプリを使うと、ここまでの手順のうち「書く・打ち込む・見比べる」を、スマホでの入力と、その場での差の表示に置き換えられます。

紙の棚卸表で数えると、「数える→書く→Excelに打ち込む→帳簿と見比べる→直す」という流れになります。この流れでは、数える時間より、そのあとの転記と突き合わせのほうが長くかかりがちです。

ここでは、私たちが開発しているクラウド在庫管理アプリ「nanco」の棚卸し機能で、この手順がどう変わるかを紹介します。

  • スマホでバーコードを読み取り、数えた数を入力すると、在庫数との差がその場で表示されます
  • 棚卸しを確定すると、そのまま在庫数に反映されます。帳簿を別に直す工程がなくなります
  • いつ・何を数えたかの記録が残り、CSV・Excelで書き出せます
  • エリアごとに少しずつ進められるので、循環棚卸しにも向いています

ハンディターミナルのような専用機器は要りません。くわしくは棚卸し機能の紹介ページにまとめています。

10. まとめ

  • 最初に、進め方(一斉か循環か)と記録の道具(紙・Excelかアプリか)を現場に合わせて決めます
  • 1週間前に日時・範囲・担当とルールを決め、前日に整理と共有、当日朝に記録を締めます
  • カウントは2人1組で、済みマークを付けながら、集中力が持つ長さで進めます
  • 照合では、差の大きいものから原因まで調べます。数字合わせだけだと、翌月また同じ差が出ます
  • 終了後30分の振り返りが、次回の棚卸しをいちばん楽にします

棚卸しの定義や種類、時期と頻度、税務との関係は、「棚卸しとは?完全ガイド」にまとめています。今回の手順とあわせて読むと、全体像がつながります。

よくある質問

棚卸しは何人で、どう分担すればいいですか?
2人1組で、数える人と記録する人に分かれるのが基本です。エリアの数だけ組を作り、担当範囲を割り当てます。数え終えた棚に「済み」の目印を付けていくと、数え漏れと二重カウントの両方を防げます。
棚卸しの最中に入出庫が発生したらどうすればいいですか?
数えている範囲の入出庫は、いったん止めるのが基本です。どうしても止められない出荷などは別に記録しておき、棚卸しの確定後に反映します。どちらで扱うかは当日ではなく前日までに決めて、関わる全員に共有しておきます。
棚卸しにはどのくらい時間がかかりますか?
規模によりますが、製造業の現場では3〜4人がかりで半日から1日かかる例もあります。数え間違いは後半に増えるため、集中力が持つ長さで終わらないなら、エリアごとに分けて数える循環棚卸しを検討します。バーコードのスキャンで転記をなくすのも時間短縮に効きます。
棚卸表には何を書けばいいですか?
アイテムの一覧に、帳簿上の在庫数と、数えた数の記入欄を付けるのが基本形です。差異があったものには原因もひとこと添えておくと、次回の棚卸しが楽になります。棚卸表は保存します。期末の棚卸しでは、決算の根拠資料にもなります。