AI(ChatGPT)で複数商品の在庫をまとめて分析し、今月の仕入れ数を決める方法

コラム 公開日: 2025-07-10 / 更新日: 2026-10-01 執筆・編集: nanco 編集部
ChatGPTで複数商品の在庫データをまとめて分析し、仕入れ数を決めるイメージ

商品が1つなら前回の方法で追えますが、点数が増えると一度に見きれません。15商品の在庫履歴をまとめて ChatGPT に読ませます。どれをどれだけ仕入れるかを、一度に決める応用編です。

前回のコラムでは、1つの商品の在庫履歴をAI(ChatGPT)に読み込ませ、仕入れのタイミングを判断してもらう方法を紹介しました。

1. 進め方の全体像

手順は3つです。

  1. 在庫履歴のデータを用意する
  2. ChatGPTに指示とデータを渡す
  3. 出てきた結果を確かめる

まず試してみたい方のために、15商品分のサンプルデータを用意しました。サンプルデータ(Excel)をダウンロードすれば、すぐに次の「2. ChatGPTに指示する」から始められます。

自分の在庫データで試す場合は、記事の最後の「付録」で、nanco から在庫履歴をダウンロードして1つのファイルにまとめる方法を説明しています。


2. ChatGPTに指示する

ChatGPT にログインして、新しいチャットを開きます。Excelなどのファイルを添付して分析してもらうには、ログインが必要な場合があります。

使えるモデルや、添付できるファイルの数・利用回数の上限は、プランによって違い、変更されることもあります。最新の情報は、ChatGPTの画面で確認してください。

ChatGPT にログインしたあとの入力画面

今回は、次のような指示(プロンプト)を送りました。

私は雑貨屋の店長です。あなたは、経営コンサルタントで仕入・在庫管理のアドバイスを請け負っています。これから店で取り扱っている商品のデータを渡します。 データは15商品の在庫履歴が1つのExcelシートにまとまっています。 各商品のリードタイム7日です。

このデータを見て、

  • 各商品、今月、何日に何個仕入れればよいか、全商品の表を作成してください。また、仕入れる根拠も説明してください。
  • 今月の仕入れが要らないものも含めて、全商品分の表を作成してください。
  • 表には、
    • 商品番号
    • 商品名
    • 発注日
    • 仕入れ数
    • 発注する根拠 を記載してください。

今日は2024年7月15日という設定でお願いします

指示を書くときは、次の3つを意識すると、結果の精度が上がります。

ポイント1:自分と相手の役割を伝える

「雑貨屋の店長です」という自分の説明と、「経営コンサルタント」というChatGPTの役割を書いておくと、言葉づかいや説明の細かさを合わせてくれます。

ポイント2:データの中身と、足りない情報を伝える

ChatGPTは、まれにこちらの意図と違うデータの読み方をします。「15商品の在庫履歴が1つのExcelシートにまとまっています」のようにデータの構成を書いておくと、読み違いを防げます。

また、Excelシートにはリードタイム(発注してから届くまでの日数)の情報が入っていないので、「各商品のリードタイム7日です」と指示に足しています。商品ごとにリードタイムが違う場合は、一覧を作って指示に貼り付けても大丈夫です。

ポイント3:ほしい結果を具体的に書く

今回は「全商品の今月の仕入れ表」がほしいので、表に入れる項目まで指定しました。

指示を送ると、次のような返事がきます。

※以下はChatGPTの出力です

はい、承知しました。まずは、Excelファイルをアップロードしてください。

ファイルをもとに在庫履歴を分析し、以下の要件を満たす表を作成いたします:


出力予定の表の項目

商品番号商品名発注日仕入れ数発注する根拠

分析方針

  • 在庫履歴の推移を確認し、販売ペースを算出
  • 各商品の**安全在庫(例:2週間分)**を基準に、必要量を逆算
  • リードタイム7日を考慮し、在庫が不足しそうなタイミングに先んじて発注
  • 過剰在庫・低回転商品は、発注不要と明記

ファイルのアップロードをお待ちしております。

アップロード後、内容を確認し、分析を開始いたします。

この返事のあとに、用意したExcelファイルをChatGPTの画面にドラッグ&ドロップして送ります。サンプルデータは、2024年1月から7月中旬までの在庫履歴です。


3. 結果を確かめる

データを送ると、分析が始まります。

※以下はChatGPTの出力です
商品番号商品名週平均販売数在庫数安全在庫必要仕入数
Z001木製アロマディフューザー534100
Z002レトロガラス風鈴16.75033.534
Z003和紙のメモパッドセット7.75815.58
Z004陶器マグカップ0.2570.50
Z005小さな苔テラリウム0.75231.50
Z006天然木の靴べら0.51110
Z007ミニ布巾セット4.25128.50
Z008手ぬぐい風タオル3.7557.52
Z009ラタンバスケット0.7551.50
Z010竹炭入り消臭サシェ_0715まで10.523210
Z011草木染めの布マスク0.75421.50
Z012風合い和紙のポストカード0.51410
Z013キャンドルホルダー1.2552.50
Z015焙煎ほうじ茶ブレンドティー2.75195.50
Z014季節の手作りアクセサリー(春)0000

上記の「商品別仕入れ分析(2024年7月15日時点)」に基づき、各商品の仕入れが必要かどうかを判断し、発注表を作成します。

ここで大事なのが、数字の出し方を確かめることです。週平均販売数と安全在庫をどう計算したかを聞くと、次のような答えでした。

  • 週平均販売数 = 直近1か月の販売数 ÷ 4
  • 安全在庫 = 週平均販売数 × 2(週間)

シンプルな計算ですが、仕入れ数の目安としては使えます。計算の方法が分かっていれば、「直近1か月ではなく3か月で見てほしい」のように、自分の店に合わせて指示を直すこともできます。

続けて、発注表を作ってもらいます。

※以下はChatGPTの出力です
商品番号商品名発注日仕入れ数発注する根拠
Z001木製アロマディフューザー発注不要0在庫34個、安全在庫10.0個を上回っている
Z002レトロガラス風鈴2024/7/1534在庫0個、週16.75個販売、安全在庫33.5個に対して不足
Z003和紙のメモパッドセット2024/7/158在庫8個、週7.75個販売、安全在庫15.5個に対して不足
Z004陶器マグカップ発注不要0在庫7個、安全在庫0.5個を上回っている
Z005小さな苔テラリウム発注不要0在庫23個、安全在庫1.5個を上回っている
Z006天然木の靴べら発注不要0在庫11個、安全在庫1.0個を上回っている
Z007ミニ布巾セット発注不要0在庫12個、安全在庫8.5個を上回っている
Z008手ぬぐい風タオル2024/7/152在庫5個、週3.75個販売、安全在庫7.5個に対して不足
Z009ラタンバスケット発注不要0在庫5個、安全在庫1.5個を上回っている
Z010竹炭入り消臭サシェ_0715まで発注不要0在庫23個、安全在庫21.0個を上回っている
Z011草木染めの布マスク発注不要0在庫42個、安全在庫1.5個を上回っている
Z012風合い和紙のポストカード発注不要0在庫14個、安全在庫1.0個を上回っている
Z013キャンドルホルダー発注不要0在庫5個、安全在庫2.5個を上回っている
Z014季節の手作りアクセサリー(春)発注不要0在庫0個、安全在庫0.0個を上回っている
Z015焙煎ほうじ茶ブレンドティー発注不要0在庫19個、安全在庫5.5個を上回っている

今月仕入れが必要な商品は、15品中3品でした。少なく感じるかもしれませんが、販売ペースと安全在庫という根拠があるので、今の在庫が多いのか少ないのかを、勘ではなく数字で判断できます。


4. まとめ

  • 複数商品の在庫履歴を1つのファイルにまとめて、ChatGPTに渡します
  • 指示には、役割、データの構成、リードタイムなどの前提を書きます
  • 出てきた数字は、計算の方法まで確かめてから使います

勘や経験に頼っていた仕入れの判断に、数字の根拠を足せます。まずはサンプルデータで、一度試してみてください。


付録:自分の在庫データで試す

nanco の在庫履歴を使って試す場合の、データの用意のしかたです。

在庫履歴データのダウンロード

分析には、在庫数の変更履歴データを使います。アイテム詳細ページを開き、アイテム名のすぐ下にある「履歴をダウンロード」をクリックします。

アイテム詳細ページ。アイテム名のすぐ下に「履歴をダウンロード」ボタンが並んでいる
アイテム詳細ページの「履歴をダウンロード」

データに含める情報を選ぶ画面が開きます。設定は変えずに、そのままダウンロードしてかまいません。中でも「変更理由」の情報が入っていると、分析のときに役立ちます。

「変更履歴のダウンロード」画面。変更理由・編集者・メモのスイッチがオンになっている
含める情報を選んでダウンロード

この手順を、分析したい商品の数だけ繰り返します。ダウンロードしたファイルは、ひとつのフォルダーにまとめて入れておきます。

複数のファイルを1つにまとめる

ChatGPTに一度に添付できるファイルの数には、上限があります。ここでは、Excelを使って複数のファイルを1つにまとめる方法を説明します。特別な設定は要らず、基本的に「OK」を押して進めるだけです。

手順1: Excelを開き、新規で空白のブックを作成します。データタブを選択します。

Excel で新規の空白ブックを開き、データタブを選んだ画面

手順2: 左端の「データの取得」をクリックし、「ファイルから」>「フォルダーから」を選びます。

Excel の「データの取得」から「ファイルから」>「フォルダーから」を選ぶ画面

手順3: 読み込むデータの場所を選ぶウィンドウが出るので、先ほどデータをまとめて入れたフォルダーを選択します。フォルダーに入っているExcelファイルやCSVファイルが一覧で表示されます。

選択したフォルダーに入っている CSV ファイルが一覧表示されたウィンドウ

手順4: 「結合」ボタンを押し、「データの結合と変換」を選択します。

「結合」ボタンのメニューから「データの結合と変換」を選ぶ画面

ファイルの結合設定のウィンドウが表示されます。「OK」を押して進めます。

ファイルの結合ウィンドウ。在庫変更履歴のプレビューが表示されている
Power Query エディターに読み込まれた在庫変更履歴のデータ

手順5: Power Query エディターというウィンドウが開いたら、左上の「閉じて読み込む」をクリックします。複数のファイルが読み込まれた1枚のシートができあがります。

複数の履歴ファイルが 1 枚のシートに統合された Excel の画面

名前を付けて、xlsx形式で保存すれば完了です。このファイルを、「2. ChatGPTに指示する」でサンプルデータの代わりに使ってください。